App StoreとGoogle Playにおける流入元の違いとは?
AppleもGoogleも、ユーザーが新しいアプリを発見しやすくするためにレポーティングの仕組みを最適化し続けていますが、パブリッシャーにとって、ユーザーがどのように自社アプリにたどり着いたかを分析するのは、簡単なことではありません。App Store、Google Play、そして自社のビジネスインテリジェンスにおいて、どのようにデータが帰属しているのかが不明確な場合があります。そこで、トラフィックを分析する際に、それぞれにおける流入元の違いを把握することが重要です。
本ブログでは、iOSとGoogle Playの流入元に関する情報をまとめました。効果的なトラフィック獲得戦略を立て、データに基づいた意思決定を行いましょう。
App Store・Google Playそれぞれのトラフィックアトリビューションとは?
アプリストアのトラフィックアトリビューションは、ユーザーがどのようにアプリのプロダクトページやストア掲載情報にたどり着いたのかを示し、これらはApp StoreやGoogle Playのユーザー獲得レポートで確認できます。
両アプリストアの流入元は、大きく分けると3つあります。
- 検索トラフィック: ストアでキーワードを入力し、検索結果からアプリを見つけたユーザーを指します。このトラフィックについては、検索キーワードごとに分類することが可能です。
- 非検索トラフィック: ストアの非検索セクションを通じてアプリを発見したユーザーを指します。ユーザーは非検索セクションからアプリをタップし、最終的にアプリのプロダクトページにたどり着きます。
- 外部トラフィック: アプリストア以外から流入したユーザーを指します。SNS広告、他のアプリの広告、ブログ、特定のURL経由からです。
このアトリビューションシステムには、グレーゾーンがたくさんある上、AppleとGoogleとで流入元の分類のされ方に多少違いがあるため注意が必要です。例えば、Google Playではこれまで、広告は「検索」「非検索」「外部」トラフィックに分類されており、オーガニックトラフィックと有料トラフィックが混在していました。幸いなことに、2022年下旬には見直しが行われ、Google Playのオーガニックトラフィックと有料トラフィックの区分が明確になりました。このように、両社とも積極的にアトリビューションシステムの改善に取り組んでいます。
ストアトラフィック内 | Apple | |
ストア内広告 | App Storeの検索 App Storeの閲覧 |
サードパーティの参照 |
オーガニック検索 | App Storeの検索 | Google Playの検索 |
オーガニック閲覧 | App Storeの閲覧 | Google Playのトラフィック |
Google Playの流入元
Google Playでは、流入元を「検索」「探索」「リファラル」の3つに分類しています。これらをもう少し深く掘り下げてみましょう。
- Google Playの検索: Google Playで検索を行い、アプリのプロダクトページを訪問し、アプリをインストールしたユーザー数。
注:2022年11月以前、Google Playの検索結果に表示されるすべての広告トラフィックは「検索」に含まれていました。しかし、Googleは有料トラフィックはストア掲載情報の獲得レポートに含まれなくなったと発表しました。これにより、検索トラフィックと有料トラフィックの区別が明確になりました。
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Google Playの探索: Googleの探索トラフィックとは「検索結果経由ではなく、Google Play内でアプリやゲームを見つけたユニークなユーザー」と定義されています。以下の方法でダウンロードに至ったユーザーが対象です。
- アプリ・ゲームのタブをスクロールして訪問したユーザー
- カテゴリトップチャートを閲覧して訪問したユーザー
- アプリページの「類似アプリ」欄や検索結果に表示される「おすすめのアプリ」欄からアプリをダウンロードしたユーザー
2023年2月19日より、Googleは「カテゴリ検索」を「検索」から「探索」トラフィックに分類変更しました。カテゴリ検索とは、カテゴリや特定タイプのゲーム (例:「レーシングゲーム」) などの特定キーワードのことです。Googleは、引き続きナビゲーション検索を検索トラフィックに分類すると表明しています。ナビゲーション検索とは、アプリ名、アプリ名のバリエーション、スペルミスやブランド固有の用語が含まれます。
その結果、Play Consoleでは2023年2月18日頃に検索トラフィックが減少し、探索トラフィックが増加していたことが確認できます。
特定のキーワードからのインストールは、「検索」および「探索」トラフィックの両方に帰属しているような一貫性のないケースがまだ見受けられるようです。これは、ブランド名に一般キーワードが含まれるアプリに当てはまる例です。
Google Playの検索トラフィックに帰属されている検索ワードを知りたい場合は、コンソールにアクセスし、「ストアのパフォーマンス」セクションで「ストアの分析」をクリックします。画面を下にスクロールして「検索キーワード」というテーブルを見つけ、そこで「探す」をクリックします。ここでは、すべての検索語句のリストが表示されます。
また、単純に「ストアのパフォーマンス」セクションの「コンバージョン分析」に移動し、設定を「すべての検索キーワード」に変更してフィルターに「トラフィックソース:Google Playの検索」を適用することもできます。
注: Google広告は検索結果や「このアプリに関連」「おすすめ」「For you」などに表示されます。2022年11月10日までは、有料トラフィックと「探索」トラフィックから獲得したトラフィックが混在していましたが、改善後、Google広告のトラフィックは「探索」トラフィックから除外されるようになりました。
- サードパーティの参照: 非オーガニックトラフィック経由で、ストアの掲載情報を訪問し、アプリをインストールしたユーザーを指します。このトラフィックのほとんどは、Playストア外またはGoogle Playに配置された広告からのアクセスです。例外として、SEOトラフィックなど、Playストア外からのオーガニックなトラフィックも含まれます。
Googleが昨年11月にPlayストアレポートを更新する以前は、有料トラフィックの分布が不透明でしたが、有料トラフィックは「検索トラフィック」や「探索トラフィック」に含まれなくなり、その代わりに、有料トラフィックはすべて「サードパーティの参照」に分類されるようになりました。以下のグラフを見ると、更新日以降、レポート上の「検索」と「探索」トラフィックが減少したことが分かります。
App Storeの流入元
App Storeの流入元は、Google Playと名称が似ているものの、定義はかなり異なります。App Storeの流入元は次のように分けられます。
- App Storeの検索: App Store内の検索バーからアプリを探しているすべてのトラフィックが含まれます。ただしユーザーは、実際にアプリのプロダクトページを訪問しなくても、検索結果から直接アプリをダウンロードすることができる点を念頭に置きましょう。また、検索結果には広告も表示されるため、検索トラフィックには、Apple Search Adsキャンペーンを経由した有料トラフィックも含まれます。
- App Storeの閲覧: ストアの「Today」「ゲーム」「アプリ」タブからアプリを閲覧し、最終的にプロダクトページに移行しダウンロードに至ったユーザーのトラフィックが含まれます。これは、オーガニックブラウズとも捉えられますが、「Today」タブや「検索」タブ、プロダクトページに表示される広告やApp内イベントを経由したトラフィックも含まれます。
- 参照元App: 他のアプリのリンクをタップして、アプリのプロダクトページにたどり着いたトラフィックを指します。StoreKit APIでプロダクトページを読み込んだすべてのトラフィックが含まれます。また、Safari以外のWebブラウザで表示されるウェブサイト上のリンクからのトラフィックもこのトラフィックに含まれます。
- 参照元Web: Safariブラウザ上のウェブサイトリンクからアプリのプロダクトページに飛んだ場合は、参照元Webトラフィックとされます。また、Safariでのウェブ検索も含まれます。
また、App Clip、法人購買、無効トラフィックなどの二次的な流入元もあります。
- App Clipとは、iPhoneのアプリの一部分のみをApp Storeでダウンロードせずに使えるミニアプリのような機能です。App Clip版を使用後、実際にアプリをダウンロードしたい場合、App Clip上のリンクからプロダクトページに飛んでダウンロードすることができます。このようにダウンロードが発生した場合、「App Clipトラフィック」として分類されます。
- 「Apple Business Manager」または「Apple School Manager」から発生したダウンロードは、「法人購買トラフィック」とされます。
- 最後に、Appleが「Apple Analytics」で流入元の追跡を開始する前にアプリをダウンロードしたユーザーについては「不明トラフィック」と分類されます。このアトリビューションシステムは、2017年4月15日にリリースされました。
App Store・Google Playがどのように流入元を分類しているか (特に外部トラフィック) を完全に理解するまでは混乱するかもしれませんので、各ストアの違いを以下の表にまとめました。
外部トラフィック | Apple | |
Web検索 | 参照元Web | サードパーティの参照 |
Web広告 | 参照元App | サードパーティの参照 |
Webリファラー (別のWebサイト) | 参照元Web (Safari)
また 参照元App (別のブラウザー) |
サードパーティの参照 |
Appリファラー (別のアプリ) | 参照元App | サードパーティの参照 |
アプリページ訪問せずに発生したインストール | App Clip、
法人購買、 または不明トラフィック |
トラッキング不可 |
Play Storeでは、直接インストールを除くすべての外部トラフィックがサードパーティの参照に分類されます。直接インストールについては、アプリページを介す必要がなく、たったワンタップでダウンロードが完了しますが、残念ながらこれらはトラッキングされません。
最後に
両ストアにおいて「検索」「参照」「閲覧・探索」トラフィックは名前から読み取れる単純な分類方法ではありません。アプリストアのアトリビューションシステムは自社や使用しているモバイルアトリビューションプラットフォームが提供するものと異なる場合があります。そのため、アプリストアの獲得レポートを分析する際には、それぞれの流入元が具体的にどのようなトラフィックを含むかを理解しておく必要があります。
明確なデータを頼りにすることで、アプリのパフォーマンス向上に繋がるような効果的な意思決定ができるようになるでしょう!