【Google Play】ストアのカスタム掲載情報とは?活用方法をご紹介

Rina Yoshida by 
Marketing Manager at AppTweak

1 分の読了時間

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2019年初頭にリリースされたGoogle Play Developer Consoleの機能、「ストアのカスタム掲載情報 (Custom Store Listings) 」。

これによりデベロッパーは、デフォルトのアプリページ (=ストアの掲載情報) に加え、50種類までクリエイティブやメタデータをカスタマイズしたページを作成できるようになりました。

Appleも同様のサービス「カスタムプロダクトページ (CPP) 」を提供していますが、ストアのカスタム掲載情報は、リリースから数年にわたって様々なターゲティングオプションが追加されてきたことから、設定できる項目の数がCPPに比べて充実しています。

しかし、「ターゲティングオプションの活用方法がいまいち掴めなくて使いこなせていない」という方は、少なくありません。

そこで今回の記事では、そもそもストアのカスタム掲載情報を使うべきなのかを見極める上でのポイント、そして最大限に活用するためのヒントを事例とともにご紹介していきます。


ストアのカスタム掲載情報では何ができるのか?

Google Playのストアのカスタム掲載情報では、デフォルトで作成したアプリページとは別に、テキストやクリエイティブを変更したパターンのアプリページを50種類まで作成することができます。

カスタマイズできる項目は、以下の通りです。

  • アプリ名
  • 簡単な説明
  • 詳細な説明
  • アイコン
  • スクリーンショット
  • フィーチャーグラフィック
  • プレビュー動画

テキスト部分については、ストアのカスタム掲載情報1つにつき、Playストアが対応している言語であれば、複数言語の翻訳を追加することができます。例えば、アメリカのユーザー向けに英語でカスタムページを1つ作成した場合、アメリカ在住のスペイン語話者向けにアプリ名や説明文のスペイン語訳を追加することができます。

ただし、以下2つの注意点を覚えておきましょう。

  • クリエイティブまで完全にローカライズされたページが必要な場合は、別のバリエーションとして新しくカスタムページを作成する必要がある
  • 各ストアのカスタム掲載情報では、複数の国をターゲティングすることが可能だが、各国において一度に表示できるストアカスタム掲載情報を一つのみである

このように、ストアのカスタム掲載情報は、多言語で設定可能な上に、全部で50パターンまで作成できるため、ターゲットしたいユーザーを細かく分類し、それぞれの属性に合わせて訴求方法をカスタマイズすることができます。

さらに、Googleは、デベロッパー向けのカンファレンス「Google I/O 2023」にて、説明文を作成する手間を削減するために、デフォルトのストアページで設定した説明文を基にカスタムページ用の説明文をいくつか提案してくれるAI搭載の説明文ジェネレーター (AIヘルパー) をリリースすることを発表しました。

具体的には、デフォルトの説明文に含んだ内容をキープしつつ、文章のトーンを変更したり、季節的な要素を取り入れたり、ユーザーのステータス (新規、既存、休眠ユーザー等) に合わせて訴求方法を変更した説明文をAIが生成してくれるそうです。

ストアのカスタム掲載情報の種類と活用事例

豊富な設定項目があるストアのカスタム掲載情報は、複数のランディングページを作成したいマーケターにとってはもってこいの機能ですが、最大限の効果を得るには、実際に作成する前にいくつか考慮すべき要素があります。

その中でも特に重要なのが、Google Play Developer Console上でカスタムページを作成する際にもまず問われる「どのようにカスタムページをユーザーに届けるか」といったターゲティングに関わる部分です。

それでは、どのオプションが適しているのかを見極めるにあたって、ストアのカスタム掲載情報のターゲティングの種類とそれぞれの活用事例を見ていきましょう。

【その1】国ごとにストアのカスタム掲載情報を作成する

1つ目のオプションは、国ごとのターゲティングです。デフォルトのアプリページについても、Google Playが対応している全71言語で作成することができますが、ページを翻訳したとしても国によってユーザーの好みや興味・関心が違ったり、そもそもアプリ内のコンテンツが異なることから1つのページで全世界のユーザーにアピールすることは難しくなります。

アプリを展開する国ごとに、ローカライズされたアプリページを表示させたい場合に使えるのがこの国ごとのターゲティングオプションです。

こちらのユースケースをいくつか見てみましょう:

  • 例えば、映画・TV番組配信サービスを提供しているラテンアメリカ系のアプリの場合、コロンビアとペルーとでは人気コンテンツに違いがあるかもしれません。デフォルトのアプリページをその2カ国の公用語である「スペイン語 (南米) 」で作成しても、コンバージョンにおいて重要なスクリーンショットの1枚目では、どちらのオーディエンスに向けてアピールするかを選ばなくてはなりません。ここでストアのカスタム掲載情報の国ごとのターゲティングを活用することで、ペルーのユーザーにはペルーで人気なコンテンツ、コロンビアのユーザーにはコロンビアで人気なコンテンツを表示させ、それぞれのスクリーンショットの訴求力を高めることができます。
  • 続いて、公用語が3つ (フランス語、オランダ語、ドイツ語) ある、ベルギーのユーザー向けに、アプリページ内で割引キャンペーンの告知をしたい場合について考えてみましょう。デフォルトのアプリページのフランス語版にこのようなプロモーションを追加してしまうと、そのキャンペーンの対象とはならないベルギー外のフランス語ユーザーにも情報が届き、対象外であることを不満に思いクレームやネガティブな口コミに繋がってしまう恐れがあります。そこで、国ごとのターゲティングオプションを活用することで、ベルギー在住のフランス語ユーザーに限定できる上に、そのページのオランダ語・ドイツ語翻訳も追加することで、ベルギーの多様なユーザーにプロモーション情報を促すことができます。
  • また、国ごとのターゲティングは、A/Bテストの検証結果の精度を高める上でも役に立ちます。例えば、アメリカ市場向けにストアのクリエイティブを最適化したい場合、Google Playのテスト機能から「英語 (アメリカ) 」のデフォルトページのA/Bテストを行うと、アメリカ以外の国でストアの言語を「英語 (アメリカ) 」に設定しているユーザーのトラフィックも含まれてしまいます。ストアのカスタム掲載情報を使ってA/Bテストを行うことで、アメリカ市場にターゲットを絞ってA/Bテストを行うことができます。

【その2】インストール状態ごとにストアのカスタム掲載情報を作成する

2つ目にご紹介するストアのカスタム掲載情報の活用方法は、少しニッチな使い方にはなりますが、まだ限られた国でしかアプリを展開していない場合に使える「インストール状態ごと」にターゲティングを行うオプションです。

2023年5月までは、ストアのカスタム掲載情報のターゲットとして選択できるインストール状態は「事前登録」のみで、アプリの事前登録を受け付けている国や地域のユーザーに対して、アプリが正式にローンチ次第、自動的にインストールされるように事前登録するための専用ページを表示させることができます。

そして2023年5月に開催されたGoogleのデベロッパー向けカンファレンス「Google I/O 2023」では、休眠ユーザー向けにストアのカスタム掲載情報を作成することが可能になることが発表されました。ただし、現時点では、Android上でどのように休眠ユーザーが特定されるのか、そして具体的にどのようにこのようなユーザーをストアの掲載情報でターゲティングできるのかについては明らかになっていません。こちらのターゲティングオプションの活用方法としては、例えば、老舗アプリの場合、新しく追加した機能やコンテンツを強調したストアのカスタム掲載情報を作成し、休眠ユーザーや失効したユーザーの興味を促し、主要な機能をメインに取り上げた新規ユーザー向けのデフォルトのページとの差別化を図ることができます。

【その3】Google広告のキャンペーンごとにストアのカスタム掲載情報を作成する

3つ目の活用方法も、同じくGoogle I/O 2023にて発表された新機能で、Google広告キャンペーンと紐付けてストアのカスタム掲載情報を作成することができるオプションです。各ストアのカスタム掲載情報は、固有のURLを持つため、Google広告キャンペーンにデフォルトのページでなく、そのキャンペーンに適したストアのカスタム掲載情報のURLを設定することができます。カスタムページとGoogle広告を連動させることで、関連性・訴求力の向上、コンバージョン率UP、そしてCPI (Cost Per Install = ) 削減につながります。

アプリデベロッパーにとっては、こちらが最も使用しやすいストアの掲載情報のユースケースになるとされています。しかし、ASA (Apple Search Ads) と連動が可能なCPP (カスタムプロダクトページ) とは異なり、ストアの掲載情報については、対応しているGoogle広告インベントリが限られている点 (YouTube・InMobiは可、Google Play検索広告は不可) には注意しましょう。

ストアのカスタム掲載情報の効果を最大化するためのポイント

ストアのカスタム掲載情報が50種類まで作成できるようになったことで、ユーザーの属性によってより細かく訴求方法を使い分け、コミュニケーションの質を高めることが可能になりました。

しかし、いざカスタムページを50種類作成するとなると、かなりのリソースが必要になります。まずは、ストアのカスタム掲載情報のアイデアを集め、自社のニーズを把握するために以下5つのポイントを押さえながら優先順位を付けていくことをおすすめします。

  1. デフォルトページとのエンゲージメントが低いユーザー層を特定する
    デフォルトページとのエンゲージメントが低いユーザー層は、最もストアのカスタム掲載情報の作成しがいのあるユーザー層でもあるためそのセグメントを特定し優先させることがポイントとなります。また、エンゲージメントの低いユーザー層が複数ある場合には、トラフィックが多いものから優先させましょう。
  2. 各ストアの掲載情報において明確な目的・目標を定義する
    すべてのストアのカスタム掲載情報がインストール数において目に見えるインパクトを与える必要はありませんが、定量的な効果を測定できることが重要になります。
  3. ストアのカスタム掲載情報がターゲットユーザーを狙うにあたって適切な手段であることを確認する
    ストアのカスタム掲載情報には豊富なターゲティングオプションがあるものの、ユーザーセグメントによっては、狙いづらい場合があります。例えば、狙いたいユーザー層の80%がPlayストアの検索経由でアプリページにたどり着くとされる場合、ストアのカスタム掲載情報ではターゲティングが難しくなります。
  4. Google Playが提供している「ストア掲載情報のテスト機能」を用いてカスタム掲載情報のA/Bテストを行う
    デフォルトのアプリページ同様に、コンバージョンにおいて最も効果的なクリエイティブやテキスト要素を判断するには、複数のパターンをユーザーに表示させて検証することが重要です。
  5. ターゲットとしている市場のユーザーに合わせて言語や訴求を変える
    ストアのカスタム掲載情報では、1つのページで複数の国を同時にターゲティングしたり、複数の言語を設定することができます。そのため、国や地域によってメッセージをカスタマイズすることができます。例えば、EC系アプリを運用しており、そのアプリのデフォルトのページを「英語 (アメリカ) 」に設定したとしましょう。アメリカとカナダへにおいては送料が無料で、その他の国では送料がかかる場合、ストアのカスタム掲載情報でアメリカとカナダをターゲット国として設定し、「英語 (アメリカ) 」、「スペイン語 (アメリカ) 」、「英語 (カナダ) 」、「フランス語 (カナダ) 」といったように、その地域で使用されているすべての言語を追加することで、該当するすべてのユーザーに送料が無料であることを知らせることができます。

最後に

コンバージョン率を改善したいデベロッパーにとってストアのカスタム掲載情報はとても強力なツールであり、今後もさまざまなターゲティングオプションが追加されることが期待されます。AppTweakツールで提供しているユーザーインサイトや競合データを活用しながら、どのユーザー層に向けてどのターゲティングオプションや訴求方法が効果的なのかを見極め、コンバージョン率UPに繋げましょう。

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Rina Yoshida
by , Marketing Manager at AppTweak
Rinaは、AppTweak Japanのマーケティング担当として、日本市場におけるASOの認知度向上に取り組んでいます。趣味は、グルメ探索、ランニング、愛犬と遊ぶこと。