やってはいけない!間違いだらけのASO

Yuliya Tsimokhava by 
ASO Manager at SplitMetrics Agency

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経済状況の悪化とコロナ後の「デジタル離れ」により、2023年、多くのアプリ企業はマーケティングに割く予算を削減せざるを得ない状況に状況に置かれています。アプリ業界を率いる企業たちがグロースから収益性へと焦点を変える中、コストを抑えつつ効果が得られるオーガニックチャネルにも目が向けられ、アプリストア最適化 (ASO) への関心は勢いを増しています。

今回のブログ記事では、2022年にSplitMetrics Agency社が行った70以上ものASO診断から明らかになったApp Storeのプロダクトページにおけるよくある間違いと効率的なオーガニックグロースの仕組みを構築するための方法をプロのアドバイスを交えつつご紹介していきます。

※本記事は、SplitMetrics社によるゲストブログです。


SplitMetrics流のASO診断:基本とメソッド

SplitMetrics Agencyは、アプリマーケターの皆さまのASOの取り組み向上・ROI最大化を後押しするべく、アメリカのApp Store上にある様々なカテゴリのアプリを対象に行ってきた70以上ものASO診断結果を集めました。

診断結果をまとめたこのレポートでは、多くのアプリに見られたASOの間違いとそれらが及ぼす影響、そしてこのようなミスを防ぐ方法について深掘ります。この調査の対象となったアプリは、予算やチームの大きさ、レベルが様々であることから、ASOの初心者から上級者までもが参考にできる内容となっています。

調査対象アプリ – カテゴリごとの内訳

カテゴリ 調査対象となったアプリの割合 (%)
教育 13%
ファイナンス 13%
ヘルスケア/フィットネス 13%
ソーシャルネットワーキング 10%
ライフスタイル 8%
写真/ビデオ 8%
スポーツ 8%
旅行 8%
エンターテインメント 6%
フード/ドリンク 4%
メディカル 4%
ユーティリティ 4%
仕事効率化 2%

よくあるASOの間違い:種類とその影響について

調査の結果、典型的なASOのミスは、それらが引き起こす影響に基づいて2つのグループに分類できます。

  • 可視性・ランキングに影響する間違い
  • コンバージョン率に影響する間違い

アプリストアにおける露出の制限やランキングの低下につながる間違いとしては、ローカリゼーションの欠落、メタデータフィールドでのキーワードの重複、アプリ名・サブタイトルの不十分な長さ、効果のないキーワードの使用、一貫性のないASO戦略などが挙げられます。また、無意味なクリエイティブの最適化や不十分なレビュー管理、アプリのパフォーマンス指標が低い場合などがコンバージョン率の低下に繋がります。

種類 具体的なミス 過ちを犯しているアプリの割合 (%)
可視性・ランキング クロスローカリゼーション不足 54%
メタデータ内でのキーワードの重複 38%
アプリ名・サブタイトルの文字数不足 37%
パフォーマンスが低いキーワードの使用 29%
ASO戦略不足 8%
コンバージョン率 スクリーンショット:不要な情報 56%
スクリーンショット:読みづらいテキストの使用 40%
スクリーンショット:雑然としたデザイン 37%
スクリーンショット:不明確なメッセージ 35%
スクリーンショット:クオリティの低いデザイン 31%
アイコン:関連性が低いデザイン 31%
レビューへの対応不足 19%
否定的なレビュー 19%
レビュー・評価件数不足 17%
統一感のないクリエイティブの使用 10%
アイコン:不明確な要素の使用 2%
その他 カテゴリ関連の問題、画像の向き、スクリーンショットの不一致等 19%

参照: SplitMetrics Agency: ASO audits analysis (2022). 

調査結果からわかる通り、今回対象となったアプリの過半数がローカライズされたASO戦略、行き届いたスクリーンショットのデザインに欠いており、2番目に多く見られたミスがメタデータ内でのキーワードの重複でした。

調査対象となったアプリスクリーンショットの56%が価値提案を提示しておらず、コンバージョン率の向上につながるようなCTA (Call To Action) やソーシャルプルーフ、受賞歴やアプリのパフォーマンスにまつわるデータも含まれていませんでした。また、調査したアプリ名・サブタイトルの37%が短すぎることがわかりました。これは、これらのフィールドに対する厳格な30文字制限を考慮すると、かなり驚くべき事実です。

よくあるASOの間違いを避ける方法

ASOの取り組みを通してLTVの高い (Life-Time Value、顧客生涯価値) ユーザーを多く獲得できるように、アプリ担当者が犯しがちなASOのミスを詳しく見て、同じような間違いを避けましょう。

【よくある間違い①】クロスローカリゼーション不足

アプリ名とサブタイトルは30文字、キーワードフィールドは100文字の制限が設けられているため、どの機能の説明を含むか、どの検索キーワードを狙うかは慎重に選ばなければなりません。幸いなことに、プロダクトページのキーワードは、複数のマーケットでインデックスが可能なため、異なる言語でアプリのメタデータスペースを活用することができます。これがクロスローカリゼーションと呼ばれるものです。

例えば、アプリの主要マーケットがアメリカの場合、アプリの主要言語は英語でしょう。しかし、アプリが英語以外に9つの言語に対応している場合、プロダクトページ内のアセットにもそれらの言語への翻訳を追加することで、ターゲット市場のオーディエンスへ訴求性が高くなります。

App Store Connectの資料によると、検索アルゴリズムは米国地域でもこれら9つのローカライズされたプロダクトページの要素がインデックスされます。そのため、関連キーワードをプロダクトページに組み込むプロセスがはるかに簡単になります。アプリのローカリゼーションは、それぞれの市場における文化や習慣に対する深い知識を要する複雑なプロジェクトである一方、このオーガニック施策を見落としてしまうことはアプリグロースにとって非常にもったいないことです。

【よくある間違い②】メタデータ内でのキーワードの重複

プロダクトページのメタデータに含まれているメッセージが重複していることは、アプリのランキング向上につながるどころか、見込み客への説得力がありません。不必要に何度も同じキーワードを繰り返してしまうと、貴重な文字数が消費され、プロダクトページに雑然とした印象をもたらし、自然流入を増やすチャンスを損なってしまいます。それでも、調査結果によると、今回対象となったアプリの38%がキーワードの重複によりターゲットキーワードの幅を広げる機会を逃していることが判明しました。

【よくある間違い③】アプリ名・サブタイトルの文字数不足

アプリ名とサブタイトルは、検索順位のアルゴリズムとユーザーの意思決定に影響を与える重要な要素です。これらはユニークかつ目を引くものでなければならず、アプリの主要な機能と利点を強調し、ユーザーのニーズに合わせる必要があります。当社の調査によれば、アプリ名・サブタイトルの37%が30文字に達していない状態にあり、貴重なキーワードスペースを余らせてしまっています。

【よくある間違い④】パフォーマンスが低いキーワードの使用

競争が激しいカテゴリにおいて多くのトラフィックを獲得するためにアプリページにロングテールキーワードを含むことは戦略としては良いかもしれませんが、本当にそれらのキーワードが効果をもたらしているのかを確認することも重要です。キーワードの効果を検証する前に、市場調査・競合調査を行うようにしましょう。

自社アプリに関連性の高いキーワードを100〜200個ほど選定し、それらを検索ボリュームと関連性に基づいて優先順位付けしましょう。このタスクは、ASO戦略の構築や特定のキーワードの組み合わせによる効果を予測するのに役立ちます。ASOは、継続的な改善が何より重要なので、アプリのメタデータからパフォーマンスが低いキーワードを除外することを忘れないでください。

【よくある間違い⑤】ASO戦略不足

アプリ名やサブタイトルが最適化されており、関連性の高いキーワードが含まれており、クロスローカリゼーションを行っており、クリエイティブのデザインも良く、明らかなASOのミスを起こしていないにもかかわらず、アプリのランキングの改善が見られない場合があります。これは、考え抜かれたASO戦略の欠如が原因にあると考えられます。

市場・競合分析に基づいた包括的なASO戦略は必須です。何百万ものインストールや受賞歴、高評価を獲得しているアプリに勝つには、長期的な計画が欠かせません。例えば、最近リリースされたばかりのアプリの場合、高ボリュームで競争が激しいキーワードに頼ってアプリストアの可視性スコアを向上させることは厳しいでしょう。

このケーススタディでは、当社のASOエキスパートチームが高ボリュームのキーワードを中ボリュームのキーワードに置き換えることで、Delta Investment Trackerの可視性スコアをアメリカで70%、フランスで58%増加させることができた成功事例をご紹介しています。この施策により、アプリの有料ユーザーが52%増加し、収益も50%増加しました。

アプリのプロダクトページの要素を一度最適化したからといって、ASOの作業が終わったわけではありません。ASO担当者は、UAチーム、リテンションチームやプロダクトチームと協力し合い、ダウンロード数、アクティブユーザー数、保持率、ユーザーのレビュー・評価などといったメトリクスの高いパフォーマンスを確保しなければいけません。

【よくある間違い⑥】スクリーンショット内の不要な情報

今回調査したアプリの56%が、デザインが不十分なスクリーンショットを使用していました。アプリのスクリーンショットの主な目的は、ユーザーの興味を促し、アプリの用途を示すことです。単にアプリのUIを見せるだけでは、効果は薄いでしょう。スクリーンショットのカルーセルを使用して、アプリにストーリー性を持たせ、利点を強調し、顧客体験を示すことが重要です。ベストプラクティスとして、次のような要素を追加することを推奨します。

  • 受賞歴
  • 印象的なアプリストアにおけるパフォーマンス指標
  • 競合との差別化要因となる面白い機能
  • CTA
  • 実際のユーザーの声
  • プレスの引用

覚えておくべき点として、一般的にスクリーンショットの最初の1-3枚目が最も見られます。そのため、これらの重要なスクリーンショットには、コンバージョンの促進につながる要素を含むように心がけましょう。

アプリのスクリーンショットを最適化し、ダウンロードを促進するためのポイントについてはこちらの記事もご覧ください。

【よくある間違い⑦】スクリーンショット内で読みづらいテキストの使用

SplitMetricsのASOベンチマークによると、ユーザーがプロダクトページで何らかのアクションを起こすまでの時間は10秒未満であり、ユーザーの約50%がページ訪問3秒後にページを離れてしまいます。つまり、ユーザーがスクリーンショット内の見づらいテキストを頑張って読むといったようなことは、ほぼないでしょう。それにもかかわらず、調査したアプリのプロダクトページの40%が、読みづらいテキストを含んだスクリーンショットを使用していました。以下のプロ目線のアドバイスを参考に、ユーザーフレンドリーなクリエイティブを作成しましょう。

  • テキストと背景色のコントラストを保つ
  • 読みやすいフォント・文字の大きさを使用する
  • 長文や滅多に使われない言葉の使用を避ける

【よくある間違い⑧】雑然としたスクリーンショットのデザインと不明瞭なメッセージ

コンバージョン率を高めるためにアプリのスクリーンショットに追加すべき要素はたくさんありますが、デザインとすっきり広々とさせつつ、ユーザーの目を楽しませることが重要です。当社の調査によると、アプリの37%がビジュアルにテキストやグラフィックを要素を多用しているからメッセージが伝わりづらくなっているといった問題に直面しています。また、アプリのスクリーンショットをデザインする際には、アプリの実際のUIのキャプチャだけを掲載することは避けましょう。これは、アプリの主な機能をアピールする努力が不足しており理想的ではありません。スクリーンショットのデザインの方向性を決めかねている場合は、アプリの異なる機能・特徴に焦点を当てた複数のバージョンを作成し、ターゲットオーディエンスにとって最も魅力的なバージョンを特定するためにA/Bテストを実施することをおすすめします。

【よくある間違い⑨】クオリティの低いアプリのスクリーンショット

クオリティの低いスクリーンショットの最も一般的な傾向は、ありきたりなストックフォトの使用、ぼやけたテキスト、コントラストの低いグラフィック要素が含まれていることです。ぼやけた、歪んだ、ピクセルのようなスクリーンショットは、ブランド価値に悪影響を及ぼします。また、プロダクトページのビジュアルアセットをA/Bテストするのも良いでしょう。ユーザーの行動、社会的受容性、美の概念は、国やアプリのカテゴリによって異なります。例えば、中国のユーザーは明るい色、派手なアニメーション、雑然としたデザインに慣れている一方、アメリカのユーザーはクリーンなインターフェイス、ラコニズム、ダークモードを好む傾向にあります。

【よくある間違い⑩】関連性が低いアイコンデザイン

アイコンの主な目的は、アプリの本質を示すことです。アプリストア内の場所によっては、アイコンはアプリの主な機能を強調するプロダクトページの最初で唯一の要素です。多くの場合、1つのカテゴリーに属するアプリは、ユーザーの期待により近づけるために、アイコンに同じ要素を取り入れる傾向があります。独自性を追求し、他のアプリと差をつけようとするあまり、競合他社が広く使用している連想的な要素を省くアプリ開発者もいます。ブランド認知に多額の投資をしていない限り、この戦略はあまりおすすめではありません。

アプリアイコンをデザインするにあたってのベストプラクティスはこちら

【よくある間違い⑪】アプリのレビューと評価の管理不足

アプリの評価は、コンバージョンや可視性スコアに影響を与える最も重要な要素の1つです。ユーザーは最低でも4つ星の評価を持つアプリを選ぶ傾向があります。同時に、3つ星評価のアプリは「質が悪い可能性のあるアプリ」とみなされ、5つ星評価でレビューの数が比較的少ないアプリは「良すぎて信頼できない」と感じさせます。また、Appleチームは4つ星以下のアプリを特集の対象にすることはほとんどありません。

レビューは、ユーザーエクスペリエンスとアプリの満足度に関する素晴らしい情報源です。信頼関係を築き、配慮を示すために、すべてのユーザーのレビューに返信することをおすすめします。


まとめ

景気後退により、アプリマーケターはユーザー獲得戦略を見直し、最も高いROIを生み出すチャネルに投資するよう求められています。予算削減、測定の不一致、有料トラフィックのコスト上昇により、オーガニック施策は2023年に需要が高まると予測されています。ASOの取り組みの収益性を最大化するには、アプリのプロダクトページを再確認し、アプリのキーワード、ビジュアルアセット、アプリのパフォーマンス指標にまつわるよくある間違いを修正しましょう。AppTweakのような優れたASO対策ツールとSplitMetrics Agencyの経験豊富なエキスパートチームの力を組み合わせることで、新たなオーガニックグロースの機会を見出すことができます。

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Yuliya Tsimokhava
by , ASO Manager at SplitMetrics Agency
Yuliya Tsimokhava is an ASO manager at SplitMetrics Agency. In her current role, she helps leading mobile app publishers and developers reach new levels of organic visibility and downloads on the App Store and Google Play. She loves teamwork, video games, and travel.