ASO×ASAでアプリストアマーケティングの成果UP

Rina Yoshida by 
Marketing Manager at AppTweak

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ASO対策とApple Search Ads (ASA) を並行して行うことは、アプリのダウンロード数をより効率よく増加させるシナジー効果を生み出します。

ASAキャンペーンを実施すると、ダウンロードが増加し、オーガニック検索でのインプレッションやコンバージョン、検索順位が向上します。

そこで、ASAで高いコンバージョンを獲得したキーワードやクリエイティブをASO戦略に取り入れることで、アプリストアでのインプレッションやコンバージョンをさらに促進する好循環を構築することができます。

今回のブログでは、ASOとASAのシナジー効果を上手く活用し、有料・オーガニック施策の両方においてパフォーマンスを向上させる方法をご紹介します。


ASOとASAの戦略に一貫性を持たせるべき理由とは?

ここでは、「March Madness (マーチ・マッドネス) 」と呼ばれる、全米が注目するバスケットボールの大学ナンバーワン決定戦のシーズンを例に挙げ、ASOとASAの戦略に一貫性を持たせるべき理由を解説します。

Max」と「Paramount+」は、どちらもケーブル契約なしでスポーツ試合のライブ配信を視聴できるアメリカの動画配信アプリです。

大会シーズン初日は、March Madnessに関連するほとんどすべてのキーワードでMaxParamount+を上回りました。

検索キーワード「march madness」におけるMax (赤) とParamount+ (緑) のランキング履歴の比較 (データ元: AppTweak)

 

Maxの勝因について、AppTweakのデータにより、以下のことが推測できます。

  • Maxは、3月の上旬にMarch Madness関連のボリュームが高いキーワードをキーワードフィールドに追加しています。検索件数がピークに達する前にこれらのキーワードをターゲティングすることで、競争が激化する前からオーガニック検索結果で良いランキングを確保することができたと考えられます。
Maxは、「March Madness」の検索ボリュームが増加し始める前に関連キーワードをメタデータに取り入れ、バージョンアップデートを行った直後から「march madness live」でランク圏内へ。(データ元: AppTweak)
Maxは、「March Madness」の検索ボリュームが増加し始める前に関連キーワードをメタデータに取り入れ、バージョンアップデートを行った直後から「march madness live」でランク圏内へ。(データ元: AppTweak)
  • 多くのアプリと同様に、MaxApple Search AdsでMarch Madness関連のキーワードに入札し、さらにコンバージョン率を高めるために、March Madnessを強調したカスタムプロダクトページ (CPP) を作成しました。

一見シンプルな施策に思えるかもしれませんが、Maxが実施したこれらの施策には、ASOとASAのシナジー効果を引き出す働きがあります。

  • 早期のキーワード最適化: 検索ボリュームがピークを迎える前からMarch Madness関連のキーワードをキーワードフィールドでターゲティングしたことにより、MaxはApp Storeのアルゴリズムに対し、アプリとキーワードの関連性が高いことを示すことができた。
  • オーガニック検索における関連性の強化: オーガニック検索において、AppleのアルゴリズムはMaxとMarch Madnessにまつわるキーワードの関連性が高いと判断したため、Apple Search Adsのオークションで有利になった。 
  • 関連キーワードへの入札: March Madness関連のキーワードに入札したことにより、ダウンロードベロシティ (直近の期間でどれだけ多くのダウンロードがあったか) が向上した。
  • カスタムプロダクトページ (CPP) の活用: March Madnessを強調したCPPを作成し、ASAキャンペーンを展開することで、ユーザーへの訴求力が高まり、これらのキーワードでのコンバージョン率が向上した。
  • オーガニック検索におけるランキングの向上: Appleがアプリをランク付けする際に重視しているダウンロードベロシティとコンバージョン率が向上したことにより、オーガニック検索でのランキングがさらに上昇した。
  • 好循環サイクルの構築: オーガニック検索でのインプレッションが増えることは、ストアのアルゴリズムに継続的な関連性を示唆し、Apple Search Adsにおけるインストール単価(CPI)の削減につながるという好循環を生み出す。

このように、事前に計画的に戦略を立て、タイミングを見計らってMarch Madnessキャンペーンを実施したことが、MaxがApp Storeにおいて競合のParamount+よりも優位なポジションを獲得し、多くのダウンロードを得ることに成功した秘訣だと考えられます。

年間行事や季節、イベントに合わせて活用できるASO・ASAのポイント

ASOとASAの戦略に一貫性を持たせ、両施策を並行して行うことの重要性について理解していただいたところで、続いては年間行事や季節、イベントなどに合わせて活用できるASO・ASAのポイントをご紹介していきます。

1. アプリストアでの可視性 (インプレッション) を最大化

  • 早期からの対策: イベントが近づき競争が激化する前に、狙いたいキーワードをメタデータに取り入れましょう。
  • キーワードの分類: キーワードをテーマごとに分類しましょう。例えば、デザイン作成アプリの場合、「母の日」「年賀状」「クリスマス」など、イベントや行事ごとにキーワードをグループ化し、それぞれの検索ボリュームを追跡することで、変動があった際にすぐ対策を打つことができます。
  • 好調なキーワードにおける広告費用を最適化: ASAでパフォーマンスが好調なキーワードを特定し、AppTweakのキーワードクラスターなどのASOキーワード調査ツールを活用して、これらのキーワードに関連する新しいキーワードをさらに見つけましょう。
  • チーム間での連携: ASAとASOの担当者が異なる場合は、両施策で最大限の効果を得るために、上手く連携を取り協力し合いましょう。例えば、ASO担当者は、多くのダウンロードが見込めるASAキーワードをオーガニック施策に早期に取り入れることで、ASA担当者がキャンペーンを実施する前に関連性を構築することができます。

2. クリエイティブを工夫してコンバージョン率UP

  • アプリのアイコンやスクリーンショットなどのクリエイティブを調整するタイミングを工夫することは重要です。例えば、ダイエット系のアプリの場合、新年が明けたタイミングで「お正月太り解消!」や「新年のダイエット目標達成に向けて!」などの文言を掲載したスクリーンショットに変更したり、料理レシピ系のアプリの場合、バレンタインの時期が近づく前にチョコやケーキの画像を強調したスクリーンショットに変更することで、訴求力を高めることができます。
  • ユーザーに何が響くのかを理解した上で、クリエイティブで具体的に何を強調するかを検討することが重要です。例えば、アパレルEC系のアプリの場合、品揃えの多さ、トレンドアイテム、人気モデルやインフルエンサーが着用している様子など、様々な方法でサービスをアピールすることができます。そのため、ユーザーが何に魅力を感じるのかを分析する必要があります。
  • ここで役立つのが、A/Bテストです。少しずつ強調する要素を変えたクリエイティブのパターンをいくつか作成し、どのデザインが最もコンバージョン率が高いかを検証し、パフォーマンスが良かったものを採用しましょう。

3. リサーチを徹底して効果的なCPPを作成

メタデータやクリエイティブの調査から学んだことを活用して、CPP戦略に取り入れましょう。

  • 過去のリサーチを活用して、競争が激化する前に広告入札を開始するタイミングを把握しましょう。
  • 過去のリサーチから得たインサイトを活用し、ユーザーが季節やイベントごとに興味・関心を寄せるものに基づいてページを工夫しましょう。
  • クリエイティブ調査での発見をヒントに、CPPのビジュアルやコンテンツを魅力的にしましょう。
  • 季節性のあるキーワードを取り入れて、より多くのユーザーを惹きつけましょう。
  • CPPも複数のパターンをテストして、その検証結果をもとに更新していきましょう。

4. App内イベントを活用して、エンゲージメントUP

App内イベントの活用も、App Storeでユーザーとのエンゲージメントやリテンションを高める上で効果的です。

<App内イベントを活用するメリットとは?>

  • 通常のスクリーンショットとは異なり、App内イベントはより広範なキーワードの検索結果に表示されるため、潜在的な新規ユーザーの目に留まりやすくなります。
  • 特定のスポーツやイベントに関連するアプリやゲームは、ユーザーのその時の興味に合わせたタイムリーなコンテンツを提供することで、より多くのダウンロードを獲得することができます。
  • どのイベントを特集するかは、ユーザーが最も興味を示すものによります。App内イベントとデフォルトページのビジュアルがコンバージョン率にどのような影響を与えるかを比較しましょう。
  • 最後に、季節イベントのタイミングに合わせてアプリ内イベントを実施することで、ユーザーの関心の高まりに応じてその効果を大幅に向上させることができます。

5. アプリのレビューを活用してASO・ASA戦略を改善

アプリのレビューは、フィードバックの宝庫です!ユーザーが具体的にアプリのどのようなところを気に入り、何を不満に持っているのかを知ることができるため、レビューを定期的にチェックすることは非常に重要です。

アプリストアのレビューは、アプリの露出を高め、ASOを強化するのにも役立ちます。例えば、特定の機能がユーザーに人気がある場合、その機能をスクリーンショットで強調することで、ダウンロードを促進することができます。

また、低評価のフィードバックについては、軽視せずにアプリ改善のヒントとして活用しましょう。ユーザーの声をアプリに取り入れることで、会社として、技術だけでなく顧客満足度を重視している姿勢を見せることができます。見込みユーザーにとっても、デベロッパーが利用者のフィードバックに積極的に対応していることを見れば、アプリを試してみようという気持ちが高まるでしょう。


Rina Yoshida
by , Marketing Manager at AppTweak
Rinaは、AppTweak Japanのマーケティング担当として、日本市場におけるASOの認知度向上に取り組んでいます。趣味は、グルメ探索、ランニング、愛犬と遊ぶこと。