アプリのアイコンデザインを作成する際に押さえたい10のポイント
初めて会う人にとって第一印象が重要であるように、アプリの「顔」とも言えるアイコンは、ユーザーのクリックスルー率(CTR)を左右する重要なポイントです。App Store・Google Playには、200万以上ものアプリがあるため、競合に埋もれないためにもユーザーを瞬時に惹きつけるようなアイコンデザインを考える必要があります。
「ユーザーを惹きつけるデザイン」と言っても、単に目立たせれば良いわけではなく、どんなアプリなのかがわかりやすいようなデザインを作ることがカギとなります。
本記事では、アプリアイコンのデザインを最適化するにあたって押さえるべきポイントを10個ご紹介します!
【ポイント1】結局シンプルが一番!
人間は何かを手に入れたいとき、最も手間がかからない方法を求める傾向にあります。つまり、アプリのアイコンについてもシンプルでわかりやすいデザインが好ましいでしょう。アプリの機能性を表現しようと、色々な要素をアイコンに詰め込んでしまうと、かえって雑然とした印象を与えてしまいます。
Google Play上にある上位ボードゲームアプリのアイコンを見ると、ゲームのメイン要素に焦点を当てたシンプルなものが多いことがわかります。
【ポイント2】どんなアプリなのかがパッと見て伝わるデザインにする
シンプルなデザインが好ましいとはいえ、どんなアプリなのかがユーザーに伝わらないと、ダウンロードを促すことは難しいでしょう。ブランドイメージやアプリの機能性などを考慮しながらアピールポイントを絞り出し、それを簡潔に表現したデザインを考えることが重要です。
上の画像は、「植物認識アプリ 無料」のライブ検索結果です。PictureThis、PicturePlant、PlantやBotanのアイコンは、どれも植物がカメラの枠で囲われたイメージを使用しており、シンプルでありながらアプリの機能性がわかりやすく表現されています。BlossomやPlantInについては、植物に関連するアプリであることはわかるものの、アイコンから具体的な機能を判断することは難しいでしょう。また、Biomeについては、アイコンを見ただけではどんな目的のアプリなのかを推測することはできません。
【ポイント3】アプリに適した色を選ぶ
アプリのアイコンをデザインする際は、目立つ色や自社のブランドイメージに合った色を使用しましょう。
彩度が高い色は、ユーザーの目を引くのに効果的です。ただし、カラフルにしすぎると統一感がなくなるため、あくまでもメインに使う色は1、2色に留めましょう。下の例を見ると、競合と差をつけるにあたって、いかに色が重要かがわかります。画像編集アプリについては、Photo Editor ProやPicsart Photo & Video Editor、ギターチューニングアプリについては、GuitarTuna、FenderやGuitar Tuner Proが特に目を引く色のアイコンを用いています。
また、自社のブランドカラーをアイコンに反映させるのも良いでしょう。例えば、海外の瞑想アプリHeadspaceのアイコンは、白い背景にロゴを入れた非常にシンプルなものですが、この飾り気のないアイコンは、アプリのUX(ユーザーエクスペリエンス)のシンプルさを表現するのに効果的です。
さらに、アイコンをデザインする際は、ライトモードだけでなく、ダークモードでも見栄えが良いかどうかを確認することも重要です。背景が白くても黒くても映える色を使うと良いでしょう。Androidでは、アプリアイコンの背景を透明に設定することで、ユーザーの使用モードに合わせてアイコンを表示させることが可能です(以下のSpotifyの例参照)。AppTweakのAppページプレビュー(App Store)やストアの掲載情報プレビュー(Google Play)機能では、ライトモード・ダークモード両方で複数のアイコンを試すことができます。
【ポイント4】テキストを過度に入れ込まない
A picture is worth a thousand words(≒百聞は一見に如かず)ということわざがあるように、アプリのアイコンも一目で情報がユーザーに伝わるデザインであることが大切です。一般的に、無駄なテキストを省いたアイコンの方が好まれ、クリック率も高い傾向にあります。
モバイル端末では、アイコンが比較的小さいサイズで表示されることを念頭に置き、使用するテキストをなるべく制限するよう心がけましょう。また、テキストを使用してしまうと、海外でアプリをリリースする際、ローカリゼーションを行う手間が必要になります。
カジノゲームの多くは、色やテキストをたくさん用いたアイコンを設定しています。一見、これらはカジノの派手なイメージとマッチしているようにも捉えられますが、実際アプリストアで他の競合と並べられると、情報量が多いことからかえって目立たなくなってしまいます。
テキストをどうしても追加したい場合は、読みやすく、アイコンの邪魔をしないフォントを選ぶようにしましょう。また、アイコンにアプリのダウンロード実績やお得な情報を含んだ宣伝文句を追加することは、なるべく避けましょう。
【ポイント5】ブランド力が高ければ、ロゴの使用は効果的
自社のロゴをアイコンに使用すべきか、という疑問をお持ちの方が多いようです。ロゴを使用することは、ブランドロイヤルティやイメージを高めるのに有効ではありますが、ある程度ブランド力や認知度が高い場合に限ります(例:Nike、Snapchat、TikTok、Spotify、Tinder等)。
例えば、App Storeの「フード/ドリンク」カテゴリの上位アプリを見ると、どれもロゴを見ただけで認識できる有名なブランドであるかと思います。このようにユーザーの認知度が高いブランドの場合、ロゴをアイコンに用いることで、検索結果からすぐにアプリを認識させる効果があります。
しかし、フィットネス系アプリの場合、有名なスポーツメーカーなどが出しているものでなければ、それほどユーザーのブランド認知度は高くありません。このようなアプリについては、ロゴを使用するよりもパッと見てどんなアプリなのかがわかるようなシンプルなデザインのアイコンを設定する方が良いでしょう。
【ポイント6】季節感のあるデザインを取り入れる
アプリのアイコンを定期的に更新することは極めて重要です。クリスマスやお正月、ハロウィンなどといったイベントに合わせてデザインをアップデートすると尚良いでしょう。アイコンを定期的に更新してユーザーを楽しませることで、エンゲージメントを高めるだけでなく、常にアプリの機能をも更新しているような印象を与えることができます。
アイコンを更新するといっても、デザインを大胆に変える必要はありません。カメラアプリSNOWの例を見ると、ロゴをベースにハロウィンやクリスマスに関連した要素をアイコンに取り入れていることがわかります。
【ポイント7】市場ごとにデザインをローカライズする
アプリのアイコンデザインを見直す際は、メイン市場だけでなく、アプリを展開しているすべての市場において最適化するようにしましょう。その国のユーザーの好みに合ったデザインを取り入れることで、親近感や安心感を与えることができる上に、ローカリゼーションを怠っている競合他社と差をつけることができます。
ライフシミュレーションゲームHome Streetの開発社Supersolidは、以前ブラジル市場向けにアイコンデザインを最適化しようとA/Bテストを行いました。市場調査で得たインサイトをもとに、アイコンに使うキャラクターやその服装、背景のデザイン候補をいくつか出し、テストした結果、最もパフォーマンスが好調だった下の画像の右側のデザインが採用されました。
【ポイント8】競合他社と差別化する
自社アプリのアイコンをデザインする前に、競合アプリのアイコンをユーザー視点で観察してみましょう。競合調査を行うことで、他社にはない自社の強みを見出し、差別化するにあたってのインスピレーションを受けることができるかもしれません。
以下の画像では、競合他社と差別化しつつアプリの目的を表現しているアイコンの例をピックアップしました。ナンプレゲームや電卓アプリなどは、基本的な機能や目的において競合他社とそれほど大きな違いがないものの、それぞれアイコンのデザインに差をつけながらユーザーにアピールしていることがわかります。
【ポイント9】競合の戦略を参考にしながらA/Bテストを行う
AppTweakのASOツールでは、競合が実施しているA/Bテストをモニタリングすることができます。競合他社がA/Bテストを行うと、「タイムライン」機能により自動的に特定されます。
Playrix社がGardenscapesのアイコンを選定するにあたって行ったA/Bテストを見てみましょう。同社は、2022年の初頭に4つのクリエイティブを試し、3月下旬に最もパフォーマンスが良かったアイコンを採用したことがわかります。
さらに、A/Bテストを行った上でA/B/Bテストも行うとより正確なインサイトを得ることができます。A/Bテストの結果は、Google社のテストモデルにより正確に検出されない恐れがあるからです。例として、同じくPlayrix社が出しているHomescapesというゲームアプリのA/B/Bテストを見てみましょう。
現在使用中のものと全く同じデザインのアイコンをバリアント2としても設定していることがわかります。これにより、より正確なデータをもとにテストしたアプリアイコンの成否が判断できます。
Google PlayにおけるA/B/Bテストの詳細についてはこちら
【ポイント10】各アプリストアのガイドラインに沿ってアイコンを設定する
最後に、アイコンをデザインする際は、必ず各ストアのガイドラインを把握した上で設定するようにしましょう。
App Store:
- macOSやwatchOSなどにも対応できるようなアイコンデザインを作成しましょう。
- 写真よりもグラフィックを優先し、スクリーンショットやUI要素を取り入れることは避けましょう。アイコン専用のグラフィックを作成することをお勧めします。
- 余白のない正方形のアイコンデザインがベストです。
- アイコンデザインを何種類か提供する場合は、すべてブランドイメージに忠実であることを確認しましょう。
Google Play:
- Google Playは、最近新しいアイコンシステムを導入し、ドロップシャドウが付いたiOS同様の角丸の四角いアイコンに統一させました。アイコンを設定する際は、角丸やドロップシャドウ、余白がないものをアップロードしましょう。
- Googleは、アプリアイコンにストアパフォーマンスを示唆するキーワードを含めることを禁止しています。
- ユーザーの誤解を招くようなグラフィック要素を含まないようにしましょう。
- ディスカウント情報などを含んだ宣伝文句をアイコンに取り入れることも避けましょう。
アプリのアイコンをデザインすることは簡単ではありませんが、今回紹介したポイントを押さえながら、さっそく新しいアイコンを作成してみてください!アップデートされたデザインをストアで拝見できるのを楽しみにしております。
AppTweakを活用した競合調査やA/Bテストを行い、アプリのコンバージョン率をさらに向上させましょう!