アプリのコンバージョン率 (CVR) を向上させる方法

Rina Yoshida by 
Marketing Manager at AppTweak

1 分の読了時間

月刊ニュースレターを購読する

2022年、ストア内の総アプリ数は、App Storeで約470万、Google Play Storeで約260万種類に上り(参照:2022年9月 Statista)、モバイルアプリ業界における競争はますます厳しくなっています。

やっとの思いでリリースしたアプリが競合に埋もれてしまっては、狙いたいユーザーへのリーチがかけられず、ダウンロード数も期待ほど伸びないでしょう。このような状況下においては特に、アプリページにたどり着いたユーザーを逃したくないものです。アプリの開発にかけた時間や努力を水の泡にしないためにも、コンバージョン率(CVR)を上げるための対策を打つことはとても重要です。

そこで今回の記事では、アプリのコンバージョン率を向上させるためのヒントをいくつかご紹介します!


アプリページを閲覧したユーザーの約3分の2は、ダウンロードするに至らない

ユーザーがアプリをダウンロードするかしないかは、アプリページを訪れてからほんの数秒で決まります。当社が2022年に行った調査では、米国のモバイルアプリにおける平均コンバージョン率はApp Storeで31%、Google Play Storeで33%であることが判明しました。つまり、平均してユーザーの約3分の2は、アプリページを見てもダウンロードするに至らないということです。

コンバージョン率は、アプリのカテゴリによって多少異なりますが、すでに上位にランクインしているアプリでさえ改善の余地はあります。「コンバージョン率を上げるにはどうすればいいだろう?」とお悩みの方は、まずASO戦略を見直すことから初めてみてください。

アプリページに表示される要素のうち、自社でコントロールできる部分は限られていますが、調整できる部分を最大限に活用して、訪問したユーザーをなるべく顧客として獲得できるよう対策しましょう!

【ポイント1】アプリページのクリエイティブを最適化する

アプリの第一印象は、アプリページのクリエイティブで決まるといっても過言ではありません。特にコンバージョン率最適化においては、アプリ名や説明文などのテキスト要素よりもアイコンやスクリーンショット、プレビュー動画といったビジュアル要素がカギとなります。

アプリの「顔」とも言えるアイコンは、検索結果の中からアプリを見つけやすくするのに重要な要素であるため、ユーザーの目を引くようなデザインを作成するよう心がけましょう。スクリーンショット(特に一枚目)やプレビュー動画は、アプリの使用感の印象を左右するので、機能性や魅力をいかに表現するかがポイントです。

ユーザーを魅了するアイコンデザインの作成方法についてはこちらをチェック

また、アプリページのレイアウトは、Apple Store・Google Playで異なるため、違いを考慮しながら各ストアに適したデザインを考える必要があります。

Snapchat app page Google Play vs App Store
Snapchatのアプリページ比較:Google Play(左)、App Store(右)

iOS・Androidアプリのアイコン、スクリーンショットや動画サイズについてのガイドラインはこちら

クリエイティブ最適化を行う上では、競合他社のクリエイティブ戦略を監視しながら参考にすることも効果的です。

AppTweakの「更新頻度ベンチマーク」機能では、競合他社のアプリページ更新頻度を確認することができます。自社アプリのクリエイティブのデザインをアップデートするにあたって、競合がどのような変更点を加えているか観察することで新たなインスピレーションを受けることができるかもしれません。競合アプリのメタデータ変更についてさらに深掘りたい場合は、「ASOタイムライン」も参考にすることも良いでしょう。競合他社の戦略を把握することは、自社の戦略の強化に繋がります。

【ポイント2】ユーザーの関心を引くようなキーワードをメタデータに取り入れる

検索ボリュームが高いワードやランクイン難易度が低いワードを狙ったキーワード対策は、ストアでの露出度を高め、多くのユーザーにリーチをかけるにあたって欠かせません。しかし、キーワードを選ぶ際は、ユーザーの検索意図を把握し、興味・関心を引くことができるかを考慮することも忘れてはいけません。例えば、ユーザーが「英語 学習」と検索した場合、そのニーズに合致するキーワードがアプリ名やスクリーンショットに含まれている方がコンバージョン率が高くなる傾向にあります。コンバージョン率を上げることを目的にメタデータを更新する際は、以下のポイントを押さえましょう。

  • アプリ名やサブタイトルを設定する際は、重要なキーワードが切れていたり省略されていないかを確認しましょう。主な機能がアプリ名からわかることが重要です。
  • アプリの利便性やメリットが伝わるようなキーワード含むと「ダウンロードする価値がある」と判断してもらえるチャンスが増えるでしょう。
  • サブタイトルや簡単な説明文では、CTA(Call To Action=行動喚起)を取り入れてダウンロードを促しましょう。ただし、Googleの規定に反するような宣伝文句は含まないよう注意が必要です。
  • クリエイティブには、ユーザーのニーズに沿った要素を含んで視覚的に訴えかけましょう。例えば、「ダイエット」というキーワードを検索するユーザーを狙う場合、運動やヘルシーな食べ物、体重などに関連するグラフィックを入れると良いでしょう。
  • ユーザーの関心を引くには、重要なキーワードをアプリ名やサブタイトルだけでなく、スクリーンショットにも含むことが効果的です。
App Store search results for the term "yoga" in Japan
App Storeにおける「ヨガ」の検索結果。上位アプリのほとんどがアプリ名に「ヨガ」というキーワードを含み、7つ中4つがヨガのポーズに関連したグラフィックをアイコンに取り入れていることがわかる。

【ポイント3】アプリのレビューと評価をチェックする

アプリのレビューと評価は、実際のユーザーからの評判を反映するためコンバージョン率に大きな影響を与えます。批判的な口コミが多かったり評価が低かったりすると、アプリをダウンロードするのに抵抗を感じてしまうでしょう。

アプリの評価は、App Storeでは、検索結果とサブタイトルの下、Google Playではストアのトップチャートとアプリページに表示されます。

レビューや評価は、検索結果での表示順にも影響を及ぼします。ユーザーは、検索結果で表示されたアプリの評価を簡単に比較できるため、競合に流れる可能性を防ぐためにも、評価が4.0を下回らないよう定期的に管理しましょう。

また、レビューに書き込まれたユーザーのフィードバックは、アプリを改善する上で重要な判断材料となるので必ず確認するようにしましょう。批判的なレビューを見つけた際は、返信にて直接対応することで、ネガティブな影響を多少軽減することができます。レビューを参考にアプリを改善することで、ビジネスとしてユーザーの意見や要望に応えながら成長する姿勢があるというアピールにもなります。

【ポイント4】アプリを展開する市場に合わせてローカライズする

アプリストアが世界中のユーザーに対応しているのに伴い、アプリページも展開している市場に合わせてローカライズする必要があります。ページのテキストやビジュアル要素をターゲットとするすべての言語や文化に適合させましょう。ローカリゼーションを行う際、単にアプリページのテキストを翻訳するだけではNGです。各国における競合環境、ユーザーの検索行動や好みなどといった文化的差異を分析し理解した上で行うことがポイントとなります。

下のTikTokの例を見ると、アメリカと日本とで使用しているスクリーンショットや背景、コピーなどが全く異なることがわかるでしょう。翻訳するだけでなく、カルチャライズすることで、その国のユーザーに安心感や親近感を与え、ダウンロードを促進させる効果があります。

App screenshots for tiktok localization us vs japan
TikTokのアプリページで使用されているスクリーンショットの違い(アメリカ vs 日本)

【ポイント5】A/Bテストを行う

コンバージョン率を上げるには、ストアのテキスト要素ビジュアル要素両方におけるA/Bテストを行い、狙いたいユーザーの好みや傾向を把握するが重要です。このようなデータに基づいた施策をASOに取り入れることで、ストアでの表示方法を改善しコンバージョン率向上へと繋げることができます。A/Bテストは、両ストアとも対応しており、Google Playでは「ストア掲載情報のテスト」機能から、App Storeでは「プロダクトページの最適化」機能から実施することができます。

【ポイント6】 App内イベント (iOS) やプロモーション用コンテンツ (Android、旧LiveOps) を活用する

iOSのApp内イベントAndroidのプロモーション用コンテンツを活用して、期間限定のイベントやチャレンジ、アップデート情報やキャンペーンを宣伝すれば、既存ユーザーへのアピールだけでなく新規ユーザーを獲得したり、失効したユーザーを取り戻すチャンスに繋がります。これらの機能を使うことで、常に最新の情報を掲載しながら、ストアでの可視性やユーザーとのエンゲージメントを高めることができます。

AppTweakでは、競合他社のApp内イベント・プロモーション用コンテンツ施策を簡単に監視することができます。業界の動向を監視し分析することで、App内イベントやプロモーンション用コンテンツを自社で実施するにあたってのヒントとなるでしょう。

Example of in-app events and promotional content on AppTweak
AppTweakで確認できるApp内イベント (Duolingo) とプロモーション用コンテンツ (パズル&ドラゴンズ) の例

【ポイント7】使い勝手の良いアプリを開発する

いくらこれまで紹介してきたことを実践しても、アプリそのものが良くなければ意味がありません!アプリは、ダウンロードしたユーザーに毎日とまではいかなくても定期的に使ってもらう必要があります。コンバージョン率の改善は、あくまでもダウンロードに至るまでの入口における対策であり、最終的には継続的に使ってもらうにあたってのユーザーエンゲージメントやリテンション施策に力を入れたいところです。

アプリの大半は、インストールしてからたった数日で削除されてしまう傾向にあります。アプリを開発する際は、使った瞬間から気に入ってもらえるようなユーザー体験を与えられるよう意識しましょう。ポイントとしては、なるべくシンプルで使い勝手の良いUI(ユーザーインターフェイス)をデザインすることです。


まとめ

アプリのコンバージョン率に影響を与える要因は様々です。アプリページを閲覧したユーザーのダウンロードを促進させるには、以下のポイントを押さえるようにしましょう。

  1. アプリページのクリエイティブを最適化する
  2. ユーザーの関心を引くようなキーワードをメタデータに取り入れる
  3. アプリのレビューと評価をチェックする
  4. アプリを展開する市場に合わせてローカライズする
  5. A/Bテストを行う
  6. App内イベント (iOS) やプロモーション用コンテンツ (Android、旧LiveOps) を活用する
  7. 使い勝手の良いアプリを開発する

AppTweakを活用して、自社アプリ・競合アプリの戦略やパフォーマンスをモニタリングしましょう!

無料トライアル


Rina Yoshida
by , Marketing Manager at AppTweak
Rinaは、AppTweak Japanのマーケティング担当として、日本市場におけるASOの認知度向上に取り組んでいます。趣味は、グルメ探索、ランニング、愛犬と遊ぶこと。