【ASO対策】メタデータの最適な更新頻度は?
アプリストアでの可視性とダウンロード数を維持・向上させるためには、アプリストア最適化(ASO)が必須です。このプロセスの中核を担うのが、メタデータの最適化です。
しかし、iOS App StoreとGoogle Playでは、メタデータをどれくらいの頻度で更新するのが最適なのでしょうか?
今回の記事では、それぞれのストアにおけるメタデータ更新のタイミングについて解説していきます。
※各ストアの違いについては、App StoreのASOチェックリストとGoogle PlayのASOチェックリストをご覧ください!
App Storeのメタデータ更新
メタデータを更新する最適なタイミングを判断する際の課題は、各ストアのアルゴリズムがアップデートを反映するまでに要する時間を見極めることです。iOSのApp Storeの場合、アルゴリズムはほぼ即座にメタデータの変更を検知します。
例として、2019年1月にSpotifyがアプリ名を「Spotify Music」から「Spotify: Music and Podcasts」へ変更した際、”podcast”の検索結果でのランキングが急上昇し、未ランクから11位にまで跳ね上がった事例があります。
ただし、メタデータだけがキーワードランキングに影響を与えるわけではありません。1日あたりのダウンロード数も、同じキーワードで競合する複数のアプリがどのようにランク付けされるかに大きな影響を及ぼします。
したがって、新しいキーワードを追加した後は、アプリがどのキーワードで、どれぐらいの順位でランクインするかを時間をかけて観察することが重要です。
例えば、ゲーム「Plague Inc. (伝染病株式会社) 」はメタデータに変更を加えていないにもかかわらず、1月末以降、米国で「virus (ウイルス) 」というキーワードでランキング1位のアプリとなりましたが、これは単に新型コロナウイルスの流行の影響でダウンロード数が大幅に増加したためです。
キーワードのランキングに影響する要因はさまざまであるため、ASOの専門家は、比較的ランキングが安定し、定着し始めるメタデータ更新から約4週間後にその影響や効果を分析することを推奨しています。
Google Playのメタデータ更新
Androidにおけるキーワードのインデックス化は、iOSよりも時間がかかることが証明されています。
Google Playでのランキングが安定するまで時間がかかる理由の一つとして、Androidがキーワードごとのコンバージョン率を計測してランキングを決めている可能性があることが挙げられます。
そのため、ASOの専門家は、Androidでメタデータを更新する際は、6〜8週間ほど置くことを推奨しています (※あくまでも目安であるため、状況により個人差あり) 。
ある程度期間を空けることで、ランキングが安定した後のデータを取得することができ、より正確に次にどのキーワードを狙うべきかを判断しやすくなります。
アプリローンチ直後にメタデータを最適化する
一般的には、キーワードの順位が安定するのを見極めてからメタデータを更新するのが理想ですが、場合によってはより頻繁に変更することが求められることがあります。例えば、新たにアプリをローンチする際などは、このアプローチが適しているとされています。
なぜなら、iOSでは、新しいアプリはApp Storeでリリースされてから最初の7日間、キーワードランキングにおいて優遇される傾向があるからです。
そのため、ローンチから数週間は、最初の週のパフォーマンスに基づいてキーワードを調整することが推奨されます。
一方、Google Playのアルゴリズムは、アプリがどのようなキーワードでダウンロードされているのかをしばらく観察する傾向にあります。そのため、リリース前からメタデータを最適化してしまうと、悪影響を及ぼす恐れがあります。
特にリリース初日には、完全一致検索でしかアプリが検索結果に出てこないケースが多く見受けられるため、アプリ名が「指名キーワード + 一般キーワード」の組み合わせで設定されている場合、指名または一般のどちらかで検索されたユーザーに対しては、アプリが表示されない可能性があります。
アプリのローンチ前から取り組めるASO対策についてはこちらをお読みください
ワンポイントアドバイス
Androidでブランドアプリをリリースする際、最初の数週間はアプリ名の30文字をすべて使う必要はありません。関連性が高く、競争が激しくないキーワードを選んで追加し、一定数のダウンロードが確保できたら、徐々にキーワードを追加し、最適化していきましょう。
外部要因に応じてメタデータを最適化する
キーワード最適化は終わりのない作業ですが、試行錯誤を重ねることで、アプリのキーワードリストやセマンティック辞書を構築する際に重要な関連キーワードを特定できます。この段階に到達した後の最適化作業は、わずかな利益をもたらす一方で、ダウンロード数の増加は限定的になりがちです。
このように、キーワード最適化によって見込まれるダウンロード数が最大化され、状況が安定したら、メタデータを頻繁に更新する必要はなくなります。キーワードランキングに変動をもたらす外部要因が検出された時が、メタデータの更新に最適なタイミングとなります。
特に注目すべき外部要因は、以下の2つです。
- アプリストアのアルゴリズムに変更があった場合:アルゴリズムの更新は通常、年に数回行われ、多くのキーワードのランキングに変動をもたらす可能性があります。この変動は、特定のキーワードがどのアプリ群に関連付けられるかを変更する傾向があります。その結果、この変化に迅速に対応するアプリは、自社アプリにおける主要キーワードの順位が下落したことによって発生するダウンロード数の減少を最小限に抑えることができます。さらに、競合アプリがまだ順位を回復していない間に、失ったランキングを取り戻すことにより、一時的に競争上の優位性を確保するチャンスを得ることができます。
- 競合がメタデータを更新したり新たな競合アプリがリリースされた場合: これらの変化は、以前に重視していたキーワードを守るか、それとも放棄するか、あるいは競合が見逃している他のキーワードを活用するチャンスを提供します。つまり、競合状況を常に注意深く見極め、戦略を柔軟に調整することが不可欠です。
検索結果以外のパフォーマンスにおけるキーワード最適化
検索順位に焦点を当てるのではなく、閲覧トラフィックやコンバージョン率の向上を目指すためにキーワード最適化を行うといったアプローチもあります。
- 閲覧トラフィックの最適化では、「類似のアプリ」などでトラフィックを増やすために、注目されやすいキーワードを選びます。この戦略の最も一般的な例は、「ロードブロッキング」戦略です。具体的には、自社が持っている複数のアプリで同じキーワードを狙うことで、競合アプリがそのキーワードでランクインすることを阻止するといった戦略であり、自社の別のアプリへとユーザーを誘導するにあたっても有効な戦略です。
- コンバージョン率の向上を目的としてキーワードの最適化は、特に季節性によってダウンロードに影響が出やすいアプリやブランド力が高いアプリが活用できる戦略であり、トレンドや自社のブランディングやマーケティングの方向性に沿ってメタデータを更新していくことを指します。
まとめ
結論として、アプリのメタデータをどれどれくらいの頻度で更新すべきかは、自社のリソースや全体的なASO戦略・パフォーマンスによって異なります。
一概に「これがベスト」という更新頻度はありませんが、キーワードの検索順位やストアアルゴリズムのアップデートをこまめにチェックすることが、常に最新の状態に適応し、目立ち続けるために新しいチャンスを掴む鍵となります。