「Google I/O 2023」で発表されたASO関連の新機能まとめ
AppleのWWDC (Worldwide Developers Conference) 同様に、毎年多くのアプリ関係者待望のGoogle主催イベント「Google I/O」。
今年のイベントは5月10日に開催されましたが、7月11日に東京でもオフラインで振り返りイベント「Google I/O 2023 Extended Tokyo」が開催されました。
「ChatGPT」の流行もあってか、今回のカンファレンスにおいてかなり期待されていたのがAI関連のプロダクトリリースであり、その予想通り今年は数々のAI搭載機能が発表されました。
今回の記事では、そんなGoogle I/O 2023で発表されたASOやアプリマーケティング関連の新機能をまとめてご紹介していきます。
2019年にリリースされたストアのカスタム掲載情報にまつわるアップデートについても多くの期待が寄せられていましたが、なんと今年の会議では、ストアのカスタム掲載情報のターゲティングオプションが2つ追加されることが新たに発表されました。
- 2023年5月までは、ストアのカスタム掲載情報のターゲットとして選択できるインストール状態は「事前登録」のみでしたが、休眠ユーザー向けにストアのカスタム掲載情報を作成することが可能になることが発表されました。
- また、Google広告キャンペーンと紐づけてストアのカスタム掲載情報を作成することができるようになることも発表されました。ただし、ASA (Apple Search Ads) と連動が可能なCPP (カスタムプロダクトページ) とは異なり、対応しているGoogle広告インベントリはYouTube・AdMobに限られており、Google検索広告の対応は現段階ではありません。
さらに、ストアのカスタム掲載情報を運用・管理しやすくするために、グループ化機能 (store listing groups) もリリースされました。これにより、デベロッパーはグループごとに掲載情報の編集をまとめて行ったり、既存の掲載情報をもとに新規のものを作成できるようになりました。
アプリページのメタデータ作成に役立つAIツールのリリース
Google Play Developer Console上には、AI搭載の新機能が2つ追加されることが発表されました。
- ストア掲載情報の自動翻訳ツール
- アプリを複数の市場で展開している (もしくはする予定のある) デベロッパーにとって嬉しいのが改善されたGoogleの言語モデル搭載の自動翻訳ツールです。これにより翻訳のクオリティが良くなるだけでなくスピードも上がるとされていますが、念のため最終的にはネイティブスピーカーによる翻訳チェックを行うことを推奨します。
- また、こちらのツールにおいて注目すべきポイントは、どれだけキーワード最適化が考慮された翻訳が生成されるかです。これはあくまでも当社の予想ですが、Googleの言語モデルはまだアプリストア観点で言葉の意味を捉えることはできないと思われます。(アプリストアでは、似た言葉でも例えば「ラン」と「ランニング」では検索結果に表示されるアプリが異なるため、キーワード最適化は、ユーザーの検索意図を考慮しながら行わないと期待するような効果が得られません。)
- 最後に、自動翻訳ツールが対応しているのは現時点では10ヶ国語のみですが、今後翻訳可能な言語が追加されることが期待されます。
- ストア掲載情報の説明文の自動生成ツール「AIヘルパー」
- AIヘルパーは、プロンプトを入力すると、ストア掲載情報の「詳細な説明」を自動生成してくれる多くのASO担当者が活用できるツールです。
- デフォルトのストア掲載情報ページの説明文に含んだ内容をキープしつつ、文章のトーンを変更したり、季節的な要素を取り入れたり、ユーザーのステータス (新規、既存、休眠ユーザー等) に合わせて訴求方法を変更した説明文がAIによって作成されます。
- 現時点では、実験的なリリースのため対応言語は英語のみで、日本語版のリリースについては未だ発表されていません。
プロモーション用コンテンツ関連の新リリース
今年のGoogleI/Oでは、ベータ版として一部のデベロッパー向けに展開されているプロモーション用コンテンツ (旧LiveOps) の一般公開日にまつわる発表が期待されていましたが、残念ながらこのようなアナウンスは特にありませんでした。
しかし、プロモーション用コンテンツ関連の新リリースについては3点発表されました。
- プロモーション用コンテンツは、Playストアのゲーム・アプリタブでの「おすすめ」や検索結果に掲載されるほか、Playストアの通知内容の対象にもなることが発表されました。
- プロモーション用コンテンツのレポートも改善される見込みです。AI搭載のレポーティング機能によってプロモーション用コンテンツのエンゲージメントや収益に対するインパクトを測れるようになるとされています。
- プロモーション用コンテンツに関連する最後のアナウンスは、Playストアの特集でアプリが取り上げられるチャンスを高めるのに参考にしたい品質ガイドラインや基準に関連する情報が提供されるコンテンツハブの公開についてです。すでにいくつかコンテンツが更新されているので、ここでは現時点で公開されている項目から特に重点的に考慮されるものをピックアップしてご紹介します。
- アプリがユーザーのニーズに合致したすべてのプラットフォームで使用可能であるか (例えば、ゲーム系アプリについてはモバイル版・PC版両方のPlayストアからダウンロード可能であることが推奨されます)
- アプリのUXのクオリティ (収益化システムがユーザーフレンドリーであるかなど)
- アプリのプライバシー・セキュリティ設定
- ストア掲載情報に含まれている内容の信憑性
- プロモーション用コンテンツの有無
アプリの収益化に役立つ新リリース
Googleは、アプリ・ゲームの収益化を促進させるための機能についてもいくつか発表しました。
- 近日リリース予定にある新たなプロモーション用コンテンツタイプについての発表がありました。「フィーチャード・プロダクト (featured products) 」と呼ばれるこの機能では、Googl Play上でアプリ内アイテムを直接販売することができます。
フィーチャード・プロダクトには、割引などの特典を提供するオプションも付き、ストア掲載情報ページだけでなく、特集や検索結果にも表示される見込みです。また、アプリをすでにインストール済みのユーザーについては、ストア掲載情報ページの新着情報セクションでフィーチャード・プロダクトが表示されます。
- プライス・エクスペリメント (price experiment) 」という機能により、Google Playのストア掲載情報のテスト機能でメタデータ要素をA/Bテストできるのと同じように、アプリ内アイテム等の価格が複数テストできるようになります。
- 近日、サブスク型のアプリについては、自動更新プランごとに複数のベース価格を設定することができる柔軟な価格設定のオプションが提供される予定です。
- Googleは「Strategic Guidance」という新しい財務レポートを公開する予定です。このレポートには、おそらくカテゴリやGoogleタグをもとに生成された競合・同業アプリのデータがベンチマークとして含まれます。
その他の注目リリース
最後に、上記で取り上げた新機能ほどはメジャーではないものの注目すべきアナウンスをご紹介します。
- Google Play Pointsプログラムの改善: Play Pointsプログラムに参加したユーザーが、アプリを離れてPlayストアを開かずに、Play Pointsを使用して対象のオファーを受け取ることができるようになります。Play Pointsプログラムの登録者数が30カ国にわたって1億人以上に達し、インドとメキシコが含まれるようになったことも発表されました。
- レビューのサマリー: Google Playの検索結果にストアレビューのサマリーが表示されるようになる可能性があるという発表もありました。
今回のGoogle I/Oで発表された数々の機能リリースによって、AndroidにおけるASOの業務の幅や可能性が広がるのが楽しみですね!